平成14年3月25日

将来計画委員会委員長 森 本 尚 武 殿
将来構想検討ワーキンググループ
座 長 伊 藤 武 廣   
 
信州大学のグランドデザインについて(答申)
 
信州大学は,豊かな自然と多彩な教育環境の中で,
  ○地域の文化・世界の文化を尊重する文化の人
  ○自然との共生を目指す自然を愛する人
  ○学びと研究を人間の幸福へ生かす生命尊厳の人
  ○地域社会及び国際社会の平和に貢献する平和主義の人
 を個性豊かに育成することを基本として,本学が目標とする
 高度専門職業人の養成を目指すものである。

 
 信州大学のグランドデザインは,国立大学の法人化を目前に控えた今,我が国の高等教育と学術研究及び社会的動向を踏まえ,本学が明日に向かって更に飛躍するために目指すべき方向性を提言するものであり,今後,本学の掲げる教育研究の目標を達成するための戦略的な計画を企画立案する際の骨子となるものである。
 ここに提言する事項の要素には,実施に移されようとしているもの,早急に実施すべく検討を要するもの,ある程度時間をかけて検討しなければならないものがある。
このグランドデザインは,現実と遊離した単なる夢物語ではなく,今後の社会情勢を冷静かつ的確に見極めた,信州大学の確かな明日を確約する提言である。
 

信州大学が目指すべき方向性と将来構想



1 豊かな教養教育と確かな基礎教育の堅実な推進
2 教育・研究目標達成に向けた機能的な組織編制
3 明確な教育理念に基づく入試システムの構築
4 21世紀COEを目指す世界最高水準の研究教育体制の構築
5 地域社会における知の拠点化と国際社会との連携の強化
6 総合大学の多彩な資源が活きる教育研究施設の拡充・整備
7 自己責任を明確にした自主的・自律的な大学運営の推進
8 明日への飛躍を期する戦略的な目標・計画立案組織の構築
9 機動性に富んだ教官人事運用システムの導入
10 附属病院の管理運営体制の整備

 


 
 



1 豊かな教養教育と確かな基礎教育の堅実な推進

本学が目標とする“高度専門職業人の養成”を実現するためには,その前提として,国際的に通用し得る豊かな教養教育と確かな専門基礎教育を実施しなければならない。そのために,共通教育センターに共通教育を専任的に担当する相当数の教官を新たに配置して,各学部・大学院の専門教育との有機的・効率的連携を取りながら,少人数教育を基本とした本学独自の共通教育を,全学協力体制で安定的に実施する。さらに,同センターは,教育システム研究開発センターとの緊密な連携の下で,将来の社会の変化に柔軟に対応して,本学の共通教育向上のために,常に高等教育の研究開発に努力する。



2 教育・研究目標達成に向けた機能的な組織編制

(1)本学の教育・研究目標達成のためには,教育の質の向上と研究活動体制の機動性の向上が不可欠である。そのためには,各教官が,学部・学科の枠組みにとらわれることなく,各自の意思と責任で,その専門分野の能力を機能的かつ効果的に発揮できるように,県内各地に散在する関連分野の教官と容易に連携できるような仕組みを構築すべきである。
(2)各学部及び大学院研究科がその理念及び目標に基づいて,その社会的役割を認識し,各々の教育・研究目標を効率的に達成するため,学部のキャンパス間移動や再編・統合も視野に入れた,大胆な戦略的構想が不可欠である。

3 明確な教育理念に基づく入試システムの構築

大学の魅力は,信州大学で学ぼうとする学生にとって,なんと言っても個性ある大学教育と世界的に評価される高度な研究であることは言うまでもないが,もう1つの大きな魅力は,明確な理念と教育目標に基づいた入学者選抜方法である。少子化が進む中で,受験生にとっては,本学に夢と希望を抱くことができ,大学側にとっては,求める学生の能力や適性等が的確に判定できるような,選抜方法及び制度を構築する全学的な中核組織(AOセンター)を設置する。

4 21世紀COEを目指す世界最高水準の研究教育体制の構築

本学の伝統的な特色ある知的資源を十分に活かした世界最高水準の研究教育を行う大学院の拡充・整備と,分散型総合大学に散在する豊富な資源を生かした,本学独自の個性的研究を行う大学院,研究所等を構築する。
(1)博士課程(博士後期課程)を拡充・整備する。すなわち,現専攻で世界最高水準にある研究分野を拡充・整備するとともに,農学研究科等を含む個性的な専攻や新たに特徴的な専攻も組み込んで,現医学研究科と現工学系研究科の再編・統合による一研究科(総合科学研究科(仮称))体制の構築を目指す。この構想についての詳細は,資料1を参照されたい。
(2)修士課程(博士前期課程)については,各学部に対応して設置されている修士課程(博士前期課程)を拡充・整備するとともに,法科大学院など専門教育に特化した研究科を設置し,高度専門職業人養成の社会的ニーズに応えていく。
(3)また,工学系研究科の一部で開始したITを活用したバーチャル大学院を全学的に展開し,本学の理念・目標の一つである“世界に開かれた大学”の視点に基づき,対象を日本のみならず,アジア地域及び世界各地に拡大・展開する。
(4)一方,大学の基本的使命である蓄積された教育研究業績及び基礎学問の継承はもとより,国際的研究の更なる展開を可能にする基礎研究分野の教育研究体制を整備・充実する。
 (5)本学の地理的条件と豊富な人的・物的資源を活かし,本学独自の個性的研究プロジェクト等を推進するため,山岳科学総合研究所(仮称)を設置する。




5 地域社会における知の拠点化と国際社会との連携の強化

(1)分散型総合大学として,地域貢献が大学の個性発揮の機会であると同時に,地域の期待を集めているという事実認識に立って,長野県の各地域の機軸となって地域文化・経済・社会の推進役を積極的に担いつつ,国際社会へ大きく展開する。
(2)長野県の地域性と本学の教育研究の特性を踏まえて,上田・長野地域を“先端科学技術開発研究及び企業化地域”,松本・伊那地域を“人間・自然共生科学研究地域”と位置付け,地域と連携しつつ国際的にも有益な教育・研究成果を挙げる体制を構築する。
(3)世界各国の教育研究機関等との学術・教育交流の一層の実質化を図るため,その全学的推進拠点となる国際交流センターを構築して,学部をベースにした学術交流を全学的な活動に発展・拡大するとともに,我が国が世界各地で展開している各種のプロジェクトで指導的な役割を果たす専門家の養成も行う。

6 総合大学の多彩な資源が活きる教育研究施設の拡充・整備

(1)高度情報化社会に対応すべく,現附属図書館と総合情報処理センターを統合するとともに,教育システム研究開発センター,国際交流センター等の情報関連施設や,理学部が構想している自然科学博物館等をも組み込んだ,長野県全域の知的情報資源の拠点となり得る“総合情報機構(仮称)”を構築する。概要は,資料bQを参照されたい。
(2)現在の生命科学は,遺伝子情報をもとに細胞レベル,個体レベルの研究へと進展しており,情報科学,分子科学との融合型の学術研究体制が必須要件となっている。 
このため,(学共)遺伝子実験施設,(学共)機器分析センター及び医学部附属動物実験施設並びに医学部におけるRI実験施設の統合による,“総合分析実験センター(仮称)”を設置し,効果的な相互連携体制を構築する。
(3)学部の枠組みを超えた本学独自の個性的研究プロジェクト(山岳科学総合研究所におけるプロジェクト等)を,独創的・横断的に企画・実施するため,恵まれた地理的条件に位置する本学教育研究施設の有機的な連携を図るべく統合整備する。




7 自己責任を明確にした自主的・自律的な大学運営の推進

(1)国立大学を取り巻く極めて変化の激しい状況の中で,従来の多層構造の委員会による全学的な方針の策定,企画・立案方式では,もはや対応できない状況となっており,これからの国立大学は,組織体として自己責任のもとに機動的・効率的にその目標・計画を企画立案し,遂行していかなければならない。このため,信州大学の当面する重要課題に戦略的かつ機動的に対応するため,財務,評価,地域貢献・広報及び入試担当の専門教官によるアドミニストレーションオフィスを設置し,執行部機能の強化を図る。
(2)また,本学の活動状況に対する客観的な透明性の高い点検・評価を行い,国民や社会に公表するとともに,評価結果を大学運営に反映させ,具体的な改善に努めていかなければならない。このため,目標・計画を企画立案する組織,実施する組織,点検・評価を行う組織,改善方策を検討し実施を促す組織という,組織自体の迅速な整備・充実とともに各組織を有機的に結びつける一連の効率的なシステムを早急に構築する。



8 明日への飛躍を期する戦略的な目標・計画立案組織の構築

  学長のリーダーシップのもとで,本学の目標・計画等を戦略的に策定するため,現将来計画委員会の任務と構成員の抜本的な見直しを行い,本学の制度,組織,施設,運営等に関する将来の目標・計画の企画・立案及び点検・評価結果を踏まえた改善方策・計画の策定等並びに学長が必要と認める事項について協議する組織とする。委員構成は,両副学長の他,アドミニストレーションオフィサーと全学からの適任者とし,実務機能を強化する。

9 機動性に富んだ教官人事運用システムの導入

本学の教育・研究目標を効率的・効果的に達成するために,社会的・時代的要請に戦略的に対応して,人事の重点配置を機動的に行う人事調整委員会方式を導入する。
すなわち,教官ポストの運用については,評議会の下に設置する人事調整委員会(仮称)”が全学的視点に立って調整するものとし,教官空きポストの運用は,人事調整委員会の検討を経て行うものとする。具体的には,
(1)教官人事の運用は,社会的情勢等の状況に応じて戦略的に対応できるよう,人事調整委員会の調整を経て,関係部局が進める。
(2)人事調整委員会の構成は,副学長(2名)と各部局選出委員とし,委員長は学長指名の副学長とする。
(3)人事調整委員会の設置に伴い,各学部においても,人事を調整する人事委員会(調整委員会)を置き,学部や研究科の教育・研究目標の達成に向けて戦略的に対応する。
(4)社会の変化やニーズに応じて,機敏に戦略的に対応できるよう,学長裁量の人事枠を設ける。




10 附属病院の管理運営体制の整備

医学部附属病院は,医療の提供と教育・研修及び研究を推進するため,教官とともに様々な職種の高度職業人により構成される大規模な事業体であり,また,附属病院の収支は大学全体の収支に大きな比重を占めている。このため,高い医療水準の確保とともに安定した経営を目指すことは,大学の健全な運営にとっても重要な要素である。
したがって,管理運営上の自立性を高めるとともに医学部の実習施設や卒後研修の場としての役割を果たすことはもちろんのこと,病める人の人権を十分に配慮し,他学部の実習施設,医用工学等の共同研究の場としても広く機能すべきである。
 
 

以  上
 



将来計画委員会 将来構想検討ワーキンググループ名簿



平成14年3月25日
氏     名
所   属
役 職 名
備       考
伊藤武廣
座 長:副学長 (学生担当)

村山研一
副 学 長(企画担当)

内藤哲雄
人文学部
教授

藤沢謙一郎
教育学部
学部長

又坂常人
経済学部
評議員

本田勝也
理学部
教授

勝山努
医学部
教授

野村彰夫
工学部
評議員

野口俊邦
農学部
学部長

白井汪芳
繊維学部
学部長

野村俊明
附属図書館
館長

高石道明
事 務 局 長






将来計画委員会 将来構想検討ワーキンググループ開催日



回 数
開催年月日
第1回
平成13年 9月19日(水)
第2回
平成13年 9月27日(木)
第3回
平成13年10月16日(火)
第4回
平成13年11月 7日(水)
第5回
平成13年11月28日(水)
第6回
平成13年12月11日(火)
第7回
平成14年 1月15日(火)
第8回
平成14年 1月31日(木)
第9回
平成14年 2月21日(木)
第10回
平成14年 3月 7日(木)